COLUMNプロジェクター
セミナーで動画の音を会場スピーカーから出すにはプロジェクターの音声分岐と、途切れない配線の考え方
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セミナーや講演会で、スライドの中の動画を再生したら、音が出ない。あるいは、プロジェクターの小さなスピーカーから、かすかに鳴っているだけ。イベントの現場では、珍しくないトラブルです。
映像がきちんと映っていても、音声は別の問題です。パソコンの音を会場のスピーカーから出すには、映像とは別に、音声の通り道を用意する必要があります。
この記事では、イベントの映像・音響を手がけるデプスが、プロジェクターの音声分岐の考え方と、映像が途切れないための配線の工夫を解説します。
01なぜ、動画の音が会場から出ないのか
HDMIケーブルは、映像と音声を1本で送ります。パソコンをプロジェクターにHDMIでつなぐと、映像と一緒に、音声もプロジェクターへ送られます。
ところが、プロジェクターには、スピーカーを内蔵していない機種もあります。内蔵していても、会議室で使う程度の小さな音です。そのため、音声がプロジェクターに届いても、会場全体に聞こえる音にはなりません。
会場のスピーカーから音を出すには、HDMIで送られている音声を途中で取り出し(分岐し)、会場の音響卓(音響ミキサー)まで届ける必要があります。
02音声を取り出す、一般的な方法
パソコンの音声を取り出す方法には、主に次の4つがあります。
パソコンのイヤホン端子から取る
ケーブル1本で済む、手軽な方法です。ただし、パソコンをHDMIでつなぐと、音声の出力先がHDMI側に切り替わり、イヤホン端子から音が出ないことがあります。また、音量がパソコンの設定に左右されたり、雑音が乗ったりすることもあります。
プロジェクターの音声出力端子から取る
機種によっては、プロジェクターに音声出力の端子があり、HDMIで届いた音声を取り出せます。ただし、端子の有無や、音量の扱いは機種によって異なるため、事前の確認が必要です。
HDMIから音声を取り出す機器を使う
パソコンとプロジェクターの間に機器を入れ、映像はそのままプロジェクターへ、音声だけを取り出して音響卓へ送る方法です。機材は増えますが、プロジェクターの音声出力端子に依存せず、音声を取り出せます。登壇者のパソコン側の設定変更も、できるだけ減らせます。
オーディオインターフェイスを使う
パソコンにUSBなどでオーディオインターフェイス(音声の入出力機器)をつなぎ、そこから音響卓へ音声を送る方法です。安定した音声を送れますが、パソコン側で、機器を使うための設定が必要になります。
デプスでは、パソコンのイヤホン端子は使いません。ノイズが乗ることがあり、会場のスピーカーから大きな音で流すと、小さなノイズでも目立ってしまうためです。
また、イベントでは、主催者が用意したパソコンではなく、登壇者が持ち込んだパソコンで発表することがよくあります。資料のデータを共有したくない登壇者もいるためです。登壇者のパソコンの設定を、その場で変えてもらうことは難しいため、オーディオインターフェイスも使いません。どのパソコンでも同じように使える「HDMIから音声を取り出す方法」を選んでいます。
どの方法でも、取り出した音声を、音響卓まで届けるケーブルが必要です。音響卓が離れている場合は、キャノンケーブル(XLRケーブル)など、長い距離でも雑音が乗りにくい業務用の音声ケーブルを使うのが一般的です。
03映像の配線が「途切れる」原因
音声とあわせて気をつけたいのが、映像の配線です。演台のパソコンから、会場の後方や中央に置いたプロジェクターまでは、距離が長くなることがよくあります。HDMIケーブルは、長くなるほど、映像が途切れたり映らなかったりするトラブルが起きやすくなります。
もう一つの原因が、HDMIのコネクターです。一般的なHDMIコネクターには、SDIで使うBNCのようなロック機構がありません。そのため、ケーブルが引っ張られたり、コネクターに負荷がかかったりすると、接触が不安定になることがあります。
04デプスの配線:SDIで送り、プロジェクターの手前で音声を分ける
SDIは、放送局や業務用の映像機器で使われている信号の規格です。コネクター(BNC)は、差し込んで回すとロックされる仕組みで、引っ張られても簡単には抜けません。HDMIより長い距離を安定して送ることができ、映像と一緒に音声も送れます。
デプスでは、次のように配線しています。
パソコン
スライド出し
コンバーター
HDMI → SDI に変換
配信する場合:SDIのスルー出力 → スイッチャーへ
コンバーター
SDI → HDMI に戻す/ここで音声を取り出す
プロジェクター
映像
音響卓
音声
スピーカー
- 1スライドを出すパソコンの映像(HDMI)を、コンバーターでSDIに変換します。
- 2プロジェクターの近くまで、SDIケーブルで延長します。
- 3プロジェクターの手前で、SDIをHDMIに戻します。このとき、音声を取り出します。
- 4HDMIはプロジェクターへ。音声は、キャノンケーブルで会場の音響卓まで延長します。
配信をする場合や、複数の映像を切り替える場合は、同じ映像をSDIでもう1系統出して(スルー出力)、スイッチャーまで延長します。プロジェクターと配信に、同じ映像を安定して送ることができます。
なお、光ファイバーのHDMIケーブルも、長い距離を送る方法の一つです。ただ、両端のコネクターはHDMIのままなので、抜けやすさは変わりません。デプスでは、光ファイバーのHDMIケーブルを含め、HDMIで長い距離を配線することはしていません。
05担当者が事前に確認しておきたいこと
動画の音声を使うイベントでは、次の点を事前に整理しておくと、配線の準備がスムーズです。
- 資料に、音の出る動画やBGMが入っているか
- スライドを出すパソコンの位置と、プロジェクターの位置
- 会場の音響卓の位置と、パソコンからの距離
- 配信をするか、スイッチャーを使うか
- 当日、動画の音を出して確認するリハーサルの時間を取れるか
動画を使うことが事前に分かっていれば、音声の配線も含めて準備できます。資料が当日まで決まらない場合も、「動画を使うかもしれない」と分かっているだけで、備えることができます。
SUMMARY
まとめ|音声の通り道と、抜けない配線を準備する
- HDMIは映像と音声を1本で送るため、会場のスピーカーから音を出すには、音声を取り出す必要がある
- 音声の取り出し方には、イヤホン端子、プロジェクターの音声出力、音声を取り出す機器などがある
- 離れた音響卓へは、キャノンケーブルなどの業務用の音声ケーブルで届ける
- HDMIは、長い距離や、踏まれる・引っ張られることに弱い
- デプスでは、SDIで延長し、プロジェクターの手前で音声を分けている